OxTSではADASと自動運転車の開発者が直面している課題を痛感しています。車両試験が性能試験場の閉ざされた環境から離れ、一般道路で行われるようになるにつれ、システムとテストシナリオはより複雑になっています。その結果、正確な位置データの収集は重要であるものの、ますます困難になっています。
一般道路の問題
実際の市街地試験環境では、テストトラックでシミュレートされたものとは対照的に、GNSS支援INSによる信頼できる位置データの収集に多くの障害が存在します。高層ビル、橋梁、地下道、都市の谷間(両サイドに高層ビルが立ち並ぶ通り)は、 衛星信号を妨害したり遮ることがあり、マルチパスエラーを引き起こす可能性があるため、堅牢で正確な位置ソリューションを提供することが困難になります。
OxTSのgx/ix技術は晴天環境における位置データを強化しADASと自動運転車開発の一部となっている困難な現実世界シナリオにおいて、より正確でより一貫したデータを提供するために構築されました。GNSSとIMUデータをタイトカップリングで統合したGx/ixは新しいものではありませんが、すべてのOxTS製品と同様に、継続的な改良の対象となっています。
最初は後処理パッケージとしてリリースされたものですが、後でにRTK機能で更新されたgx/ixは、実際には並行して動作する2つの処理ソフトウェアです。gx要素は4 つ以上の衛星が視野にある場合に機能します。GNSS受信機を使用して位置データを計算する代わりに、gx処理は生の衛星信号情報を取って独自のソリューションを計算し、その後それをIMUからのデータと組み合わせます。
視野にある衛星が4つ未満の場合、ix 処理が引き継ぎます。ここでも視野内の衛星から生の信号データを使用しますが、各信号を個別に処理してナビゲーションソリューションに有用なインプットを提供します。Gx/ixはモード間でシームレスに切り替わり、リアルタイムまたは後処理で最も正確なデータストリームを提供します。
サンフランシスコの街並み
gx/ixの有効性は弊社が世界中で収集した多数のデータセットからも明らかです。そうした試験の1つは、RT3003 GNSS/INSを使用してカリフォルニア州サンフランシスコのベイエリア周辺の延長ルートで行われました。このルートには、パロアルト、サンマテオ、サンフランシスコ、オークランド地域の市街地タイプおよび高速道路タイプのさまざまな道路があり、ベイブリッジの上下の両方のセクションも含まれていました。
データの分析では、標準ディファレンシャル補正モードでは、RT3003はルート全体の82.8%に対して補正位置(ディファレンシャル、浮動小数点、整数を合わせたもの)を出力しますが、gx/ixを使用するとこれが93.8%に改善しました。さらに、RT3003の中央値の位置の正確さは、gx/ixを使用するとgx/ixなしの0.087 mから0.043 mに改善されました。特に屋根付きの下層を備えたサンフランシスコのベイブリッジ上の双方向パスを含む、ルートのより困難な市街地特有のセクションに焦点を当てると、RTの出力は補正モードで77.67%から91.06%に改善しました。
GLONASSを追加した現在
継続的な開発のテーマに即して、今年の初めにgx/ixはGLONASS衛星データをサポートするように更新されました。2つの衛星コンスタレーションを利用できることで、RTKロックがさらに強化され、正確なセンチメートル位置のソリューションを維持する可能性が高まります。
GLONASSサポートを追加して更新されたファームウェアの有効性をテストするため、トリノ市の周りのデータセットを含む一連のデータセットが収集されました。このイタリアの都市の密集した都市環境は、いくつかの点でサンフランシスコのダウンタウンのより近代的な高層のレイアウトとはだいぶ異なりますが、独自の課題があり、多くのヨーロッパの都市を代表する有用なものとなっています。
トリノのテストデータは、GPSのみのファームウェアを使用してRT3003で収集され、GLONASSサポート搭載の更新されたファームウェアを使用してRT3003で収集されたデータと比較されました。その後のデータセットの分析では、最も正確な位置モードのgxIntegerに費やされた時間の割合が大幅に増加していることが明らかになりました。
テストの全長にわたってGPSのみのgx/ixソリューションを使用した場合、システムは総時間の38.9%でgx整数型位置モードを保持することができました。GLONASSのサポートを追加するとこの数字は68.3%に上昇し、最も正確な位置モードで費やされた時間の割合が大幅に増加しました。これらの数値は、GPSのみのファームウェアでの40.7cmから、GLONASSサポートによる最新のgx/ix処理を使用した場合の21.8cmまで、水平位置精度の大幅な向上につながります。
密集した市街地と都市環境は、その複雑な運転シナリオとそれらに起因するデータ収集の難点の両方において、ますます多くの自動運転技術の開発者にとって最大の課題となることは間違いありません。当社のgx/ix処理は、このような条件下で正確で一貫性のある費用対効果の高い測定能力を提供し続けています。そして、業界の需要が発展し続ける中で、当社は可能な限り最高の位置ソリューションを提供するよう尽力していきます。